on the road

カルチャーに関する話。

2020年良かったものを思い出せる限り

今年は片手で数えられるくらいしか飲み会に参加していないと思う。疎遠な人とはますます疎遠になってしまったし、会社の人としか話さない生活になってしまった。

 


ENJOY MUSIC CLUB 『よろしくね』

 

そういう生活に嫌気が差して、救いを求めるかのようにSNSをのぞく。ゾッとするような排他的な考えを吐き出す人、「電車に乗らないから俺は関係ない」、「インフルエンザの方が死者数が多い」みたいな今まさに苦しんでいる人への想像力に欠けた人なんかが自分とそう遠くない関係性の人の中にいて、より苦しい気持ちになることもあった。大学時代に比べ確実につぶやきが少なくなっている友人たちを思い起こしていると、Enjoy Music Clubの「よろしくね」の歌詞の一節がいつも頭をよぎる。

 

僕らと言えば 相も変わらず

コンビニ行って テレビ見てるよ

新しい曲も作るよ そのうちね

あの娘と言えば SNSも更新しなくて

何やってんだろう?

 

なんてことない日々をさらけ出してくれ、という気持ちになってしまう。いつになるか分からないけれど、コロナが明けたら、色々忘れて遊びましょう。

 

会社の忘年会ではあまり話さないのだけれど、毎年この時期の忘年会は「どんな1年だった?」という話を僕はよくする。皆さんはどうですか。友達と飲み会に行くと、いつも会うと同じような話になってしまうんだけれど、こういう話の振り方をすると思いがけない発見があって面白いのでおすすめです。忘年会でしか会わないような人にもそういう話をしてしまいますね。

 

今年は残念ながら忘年会がなかったので、2020年を1人で振り返ろうと思う。面白かったもの(=良かったもの)を思い出せる限り書く。基本見た順です。

 

◯映画

ジョナサン・レヴィン『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』

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2020年一発目に見た映画はラブコメ映画。ゲームオブスローンズやらMCUやら言及されていて、アメリカのカルチャーに詳しければより楽しめるんだろうなという小ネタ満載。そんなに評価が高い映画というわけではないし、下ネタもちょっと多めな映画だけれど、物語の中心に流れる「自分を曲げるな」っていうメッセージが妙に説得力があって、面白えと思った。

 

今泉力哉『mellow』

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今泉力哉監督作品は、これミニシアターで上映してそう、って感じの映画が何故かイオンシネマ系列で上映されることが多いと思う。この映画もイオンシネマで上映されて、地元で見ることができたのを覚えている。『mellow』は片想いしている人たちが想いを伝えまくる映画だ、と言っても良いだろう。この映画の変なところ(面白いところ)は、報われなさそうな恋でもきちんと相手に告白して、振られる。でも、振られた後の優しい会話のやり取りがとても心に刺さってしまう。インタビューの中で今泉監督が言っていたことも印象的だった。

 

僕には、世の中の「これがいい」、「これが成功」みたいなことを、疑いたかったりする意識があるんです。劇中、中学生の女の子同士の恋愛もあったり、不登校の小学生の女の子がいたり、結婚しているけど告白する人がいたりして、世の中的には「よくない」とされていることが出ています。この作品では、そういう人たちをとがめるわけではなく、当たり前に受け入れて生活する。「ダメ」と言われていることを「ダメって言わない」みたいなことは、書いているときに意識していた部分ではありました。

 

www.cinemacafe.net

 

田中圭演じる夏目誠一は花屋の店主なんだけれど、映画の中で一度も花の名前が登場してこないのも良かった。変に花言葉とか使わずに、直感で、自分の好みで選んだ花がそのままその人の気持ちを表現しているんだろうな。Netflixでも見れます。

 

タイカ・ワイティティジョジョ・ラビット』

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今年いちばん愛おしい映画。どこかウェス・アンダーソンっぽさのある画も良い。音楽の使い方も気持ち良い。このブログを書いている今、またレンタルしてしまった。

 

水島 努『劇場版 SHIROBAKO

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全盛期を過ぎた後の逆襲劇とでもいうのでしょうか。積み重ねてきた経験、つながりを活かして劇場版アニメを作る、という劇場版アニメ。逃げてしまったり諦めてしまった人たちが再起するシーンに当時の僕はアツくなった。コロナで仕事が忙しくなって、心に余裕がない時期だっただけに、余計そう感じたのかもしれない。

 

サム・メンデス『1917 命をかけた伝令』

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全編ワンカットっぽく巧妙に編集された映画。映画館で見て良かったと思った映画の一つ。カットがないからか、常に緊張感を持ちながら見ていたのを覚えている。ワンカットっぽいのに、いつの間にか夜になっていたり、朝になっていたりするところが不思議な感覚だったな。冒頭とラストのシーンの対比構造になっていて、それが妙に脳裏に焼き付いている。

 

グレタ・ガーウィグ『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

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グレタ・ガーウィグが関わっている作品は今後もチェックしないとなあと思わされた一作。前のブログにも書いたけれど、グレタ・カーウィグのヒロインは自分のやりたいことに突き進める強さを持っていて、それが今作では物語とうまくマッチしていたように思う。

 

キム・ボラ『はちどり』

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個人的今年ベスト3のうちのひとつ。全てのショットが決まってるし、観賞後も余韻に浸っていたいタイプの映画。間違いなく今年を代表する一作です。ちょっとだけ日記に書いていたので、引用しておきます。

 

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城定秀夫『アルプススタンドのはしの方』

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高校演劇が原作で上映時間が75分の低予算映画。アルプススタンドの端だけで物語は進み、グラウンドは一切映らない。TBSラジオの「アフター6ジャンクション」通称アトロクで、高校演劇特集をやってからというもの僕は高校演劇が気になって仕方がなかった。これはもう見に行くしかないと、池袋まで足を運んで午前中の回を見に行った。「しょうがない」で蓋をしていた想いが解き放たれる様に感動してしまった。高校生が実際にこの作品を演劇で演じるところも見たい。

 

ふくだももこ『君が世界のはじまり』

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見た後に家で思い返したりしているうちにだんだん評価が高くなってしまった映画ってありませんか。僕はこの映画がそれに当てはまる。演出は荒いと思うし、思春期の鬱屈とした人たちの独りよがりな感じがあまり好きではなかったんだけれど、松本穂香の演技のおかげでなんとか見ていられた。ラストシーンの画の強さが最高なので、それだけで見る価値がある。演出が洗練されてきたらと思うと、今後が楽しみ。ちなみに音楽があらかじめ決められた恋人たち。

 

三木孝浩『思い、思われ、ふり、ふられ

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個人的今年ベスト3のひとつ。舐めてかかったら、とんでもなく傑作だった作品。もちろん前評判が良かったので、見に行ったんだけれど。少女漫画原作の恋愛映画は小っ恥ずかしい演出が多いんだけれど、安易な演出はほとんどなくて、あんまり映画を見ていない人にも安心して勧められるタイプの映画。簡単に言えば、この映画は他の誰かが傷つかないように自分を蔑ろにしてしまう人たちが自分の気持ちと向き合って成長していく物語。

 

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石立太一『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン

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個人的今年ベスト3のひとつ。何度見ても泣いてしまう。予告を見ても泣いてしまう。京アニの『聲の形』や今作の共通点として、自分の加害性と向き合う、というところがあると思う。人と繋がっていくことで過去の自分がどんなに酷いことをしてきたのかに気づいてしまう。TVアニメシリーズのホッジンズ大佐の「してきたことは消せない、でも、君が自動手記人形としてしてきたこともまた消えないんだよ」というセリフが僕は大好きなんだけれど、過去を受け入れ、前に進む物語ってたまんないですね。

 

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クリストファー・ノーラン『TENET』

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個人的今年ベスト3には入らないが、理屈抜きでテンションの上がった映画であることは間違いない。物語が難解だ、という人が多いが、とにかく考えるな、この映像体験をひたすら喰らえ!って感じの映画。

 

13作品目 MTJJ『羅小黒戦記 僕が選ぶ未来』

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バトルシーンがものすごいかっこいい。それだけでもう十分なのに物語もわかりやすい勧善懲悪じゃないところが良い。

 

◯漫画

高松美咲『スキップとローファー』

 主人公のみつみちゃんの真っ直ぐさももちろん良いけれど、周りのキャラクターも人間味があってこの世界丸ごと好き。好きなシーンは志摩くんが元気ないからって言って、お土産の煎餅3枚あげるところ。

 

ヒロユキ『カノジョも彼女』

 二股するところから始まるハイテンションなラブコメ。今年いちばん面白かったラブコメのひとつかもしれない。みんな頭のネジが外れている。僕も頭を使わずに毎週読んでた。

 

横槍メンゴ×赤坂アカ『推しの子』

最初転生ものかあ、と思ったけれど、母親を殺した犯人を探すために芸能界入りするという物語展開に痺れた。 恋愛リアリティショーの話も結構突っ込んで書いてくれて、スカッとした。

 

和山やま『女の園の星』

女子校の先生が主人公の漫画。全ての話が絶妙なリアルさで面白い。好きな話は3話目。生徒が描いている漫画を読んで、ちょっとダメ出しをした後に、生徒からその続きの展開を教えてもらうんだけれど、その超絶展開に先生が悪くないな、って反応しているところが好き。 

 

勝木光ベイビーステップ

 

今年の漫画ではないけれど、今年初めて読んだので。主人公のエーちゃんの頭を使いまくって悪あがきして闘う姿がかっこいい。あまりにも頭を使って闘うので、中盤以降、ひと試合ひと試合かなり長いんだけれど、一気読みできたからあまり苦ではなかった。全巻買っちゃったので、数年後にまた読み返します。

 

藤本タツキチェンソーマン』

 

今年の少年漫画でぶっちぎりで面白かった。アンチ少年漫画感が最高。主人公の夢は普通の生活をすることだったり、女性の胸を揉むことだったり、他の少年漫画ほど闘う理由がないけれど、闘っているところとか。絵がものすごい上手いわけではないけれど、コマがすごい見やすいし、映画大好きなんだなっていうショットが多い。第二部も楽しみにしてます。 

 

近藤聡乃『A子さんの恋人』

A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX)

 

 

個人的今年ベスト。切っても切れないグズグズな関係の終わりまで描き切った最高の漫画。何回でも読み返したい。近藤聡乃の線も魅力だけれど、ドラマ化しても物語の強度は落ちないと思うので、ぜひドラマ化してくれえ。

 

オジロマコト『君は放課後インソムニア

 個人的今年ベスト3のうちのひとつ。インソムニアっていうのは不眠症のこと。主人公の中見とヒロインの曲、2人の不眠症の高校生のお話。毎話ふたりが愛おしくなる。徐々に仲良くなっていくんだけれど、恋愛的な意味だけじゃなく、支え合ってるのが最高。

 

山口つばさ『ブルーピリオド』

 

今年読んだんだか、あまり覚えていないけれど、最近読んだので。森先輩の「あなたが青く見えるならりんごもうさぎの体も青くていいんだよ」とかアユちゃんの「俺の"好き"だけが俺を守ってくれるんじゃないのかなあ…!」のセリフがすっげえ響いた。なんでも器用にこなせる主人公の八虎が自分を表現するのが苦手なところが好き。そういう奴が周りと比べられながら、やりたいことにひたすら向き合うのが超アツくて元気もらえる。大学編がこれからどうなるのか楽しみ。yoasobiの「群青」がこの漫画とコラボしてできた曲と最近まで知らずに聴いていたんだけれど、良い曲だよなあ。

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クリープハイプの「栞」とコラボしたMVも良いです。


クリープハイプ「栞」×「ブルーピリオド」【MMV】

 

一色まことピアノの森

 

最近一気読みしました。雨宮が一方的に主人公の海のことをライバル視しているけれど、海は雨宮を尊敬できる友達と捉えていて、その歪さは物語の後半まで引きずる。2人の和解のシーンは泣いてしまった。この漫画の名脇役は佐賀先生ですね。良いピアノだけを求めて、マリア(女装した海)のいるショーパブに入り浸ったり、ポーランドショパンコンクールまでピアノを聞きに来たり、熱狂的なピアノ狂すぎる。こういう行動力のあるファンになりたい。

 

◯小説

劉慈欣『三体II 暗黒森林』

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

 

 

まともに読んだ小説はこれだけかもしれない。来年はもっと読みます。一部に比べて読みやすいが、物語的厚みは十分。

 

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◯音楽

Laura Day Romance「rendez-vouz」

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今年いちばん聴いた曲になりました。ちょっと憂鬱な気分の時とか夜散歩している時によく聞いていた。VHSビデオみたいな質感のMVも僕好み。今年1st Albumを出したばかりなので、まだ知名度はそこまでないのかもしれないが、確実に売れると思う。この曲に限らず歌詞が好きなんですよ。

 

chelmico「Easy Breezy」

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今年、アニメをたくさん見るきっかけになったのは「映像研には手を出すな!」で、この曲hそのOPに使われていた。想像力が爆発した時の無双感がこの曲にも感じられて、テンション上げたい時に聞いていた。

 

Crrepy Nuts「かつて天才だった俺たちへ」

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Crrepy NutsがTVに出始めて売れ始めたな、と感じた時にリリースされて、こレは絶対売れるわ、って思った一曲。全てのナード、日陰で燻っている奴らがやってやんぜ!って気持ちになる。帝京平成大学のCMっていうのもいい。これがもし早慶とかMARCHだと冷める。「かつて天才だった」っていうのはもっと広い意味で使われていると思うから変に偏差値高い大学のCMに使われなくて良かった。冒頭の歌詞がキマってる。Creepy Nutsも自分たちのラジオで醜態を晒しているからこそこういうの歌えんだなって思う。

 

苦手だとか 怖いとか 気づかなければ

俺だってボールと友達になれた

頭が悪いとか 思わなけりゃ

きっとフェルマーの定理すら解けた

 

yoasobi「夜に駆ける」

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紅白出場おめでとうございます。CDをリリースせずに紅白に出場した歌手がyoasobiが初めてだとか。とにかく音が気持ち良いからついつい聞いてしまう。2分13秒くらいからのメロディが特に好き。

 

RYUTist「ナイスポーズ」

ナイスポーズ

ナイスポーズ

  • provided courtesy of iTunes

 

PVが出てないのが勿体無いくらいの名曲。この曲の展開が素晴らしすぎて、ため息が出てしまう。作詞・作曲したのは柴田聡子なのだから、こうなるのもうなずける。大サビは鳥肌。

 

小山田壮平「OH MY GOD」

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小山田壮平は好きなアーティストの1人だ。僕がアーティストを好きになる条件に明るさも暗さも兼ね備えている。というのがあるのだけれど、この曲はまさにそういう部分を歌っているように思う。これからも歌い続けてほしい。

 

OH MY GOD あの頃の僕らは心から歌っていた

闇と虹の向こう側にはきっと 何かが待っている

言葉にできるなら 伝えたいのだけど

陽炎のように揺らめいて消える

 

砂埃の街に 新世界が響く 

ひとつひとつの痛みをのみこんで

ふいに時は止まり 新世界が響く

色とりどりの優しさを包んで

 

星野源「折り合い」

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バナナマンの日村さんの誕生日に作った曲。星野源は1st Albumから一貫して世界はまったくひとつになれない、重なり合っているだけだって歌っている。そういう一貫性ってすごいなあと思う。

 

愛しているよ君を

探しているよいつも

他人のようで違う

2人の折り合いを

 

星野源といえば、「うちで踊ろう」も良い曲でしたね。あのタイミングで救いになる曲をドロップしてくれてありがとうという気持ちです、ほんと。

 

インナージャーニー「エンドロール」

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andymoriが大好きな人たちが作った曲。ちょっとハスキーなところも良いし、センチメンタルな歌詞も大好きです。小山田壮平がインナージャーニー好きってつぶやいているとこも個人的にアツい出来事でした。

 

今年はあまり色々な音楽を聞かなかったので、来年はもう少し聞こうと思う。特に洋楽を…。

 

 

★★★

お笑いとか、ラジオとか、サウナとか振り返るには時間が足りないので、省略!

来年はもっとドラマも見たいな!

みなさん良いお年を!

来年もよろしくお願いします!

11月最終週の土日と11月30日

一部の人はすでに知っているが、僕の会社で複数人で飲み会に行くな、とお達しが出ている。そう仕向けたのは自分だし、全社に発信する通達文を作成したのは自分なので、守らざるを得ないよな、と言うことで友達から誘われても断っている。申し訳ない。

 


コロナがなくても予定が埋まらないのに、土日をどう過ごそうか。そう悩みつつ、土曜日は朝7時前に起きる。健康的な生活を心がけるようになってからか、今年になってから平日と休日まったく同じ時間に起きてしまう。

 


早起きしたもののやることがない。どうしようとボーッと考えてスマホをいじっていたら、3つ隣の駅で9:15から『羅小黒戦記』を上映するらしいということで衝動的にチケットを買ってしまう。暇だから運動がてら自転車で3つ隣の駅まで移動する。距離にして12キロくらい。

 


『羅小黒戦記』って去年やってなかったっけ?と思って、調べたら去年やっていたのは字幕版で、今やっているのは吹替版ということらしい。声優陣が豪華だから字幕版しか見ていない人は、吹替版もぜひ見て欲しい。


『羅小黒戦記』は、中国のアニメ映画で、既にwebアニメシリーズがあり、今回の映画はその前日譚にあたる。何も知らずに見に行ける映画なので、安心して見に行って欲しい。

 

 

猫の妖精の小黒のキャラクタービジュアルが最高にキュートで、冒頭の森のシーンでの本当に猫みたいにぬるぬる動くところを見て、アニメーションに気合が入っているなあ!と興奮した。アクションシーンも素早いのに見やすい構図だし、カット割がたくさんあっても混乱しない。物語を抜きにしても十分見る価値のある映画だ。

 

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物語もシンプルなようでいて、善悪二元論で解決させない作り方でとても好感を持てた。物語の核心みたいな部分だからあまり触れないが、今見るべき映画のひとつだと思う。

 


休日の昼飯がいつもラーメンになってしまうのは僕だけですか?健康に多少気を使いたい年頃なので、ラーメン以外に好きなものを作らねばと考えていて、カレー屋を開拓する、というソリューションを編み出した。「『ラジオの時間』編集部」さんのTwitterアカウントがたまにカレーの写真を投稿しているのを見ていて、スパイスカレーって良いよなあ、と思ったのがきっかけだ。コロナで都内に出るのを控えているので、全然開拓できていないけれど。

 


ということで、昼飯はカレーを食べた。クマネコ印という浦和競馬場の近くにある夫婦2人で経営しているカレー屋だ。今はテイクアウト専門だけれど、人気だからかカレーを頼むときには何人もカレー屋の前にいた。さすが有名店。テイクアウトして、家で食べる(チャリで漕いで腹を空かせる)。カレーの細かい味の違いを知るほど色々食べているわけではないが、スパイスが結構効いているのに食べやすいなあということはわかった。野菜の素揚げもチキンも美味しい。また買いに行きたいと思う。

 

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家に帰ったら注文してたスニーカーが届いていてちょっとテンションあがる。昼寝して、おニューのスニーカー履いて銭湯に行って、サウナに入る。週1回以上サウナに入らないとダメな身体になりつつある。サウナ暦3年でもうすぐ4年目突入という感じだが、明らかに銭湯にいる時間が長くなっている。前までは1時間ぴったりで先頭から出るくらいのスケジュールを組んで、サウナに入っていたけれど、最近は2時間前後入り浸っている。自宅の風呂の入浴時間も長くなっている。大学生の頃は15分くらいで上がっていたのが、今では1時間くらい入っている。来年は全国のサウナめぐりてえ〜。

 


次の日の日曜も早く目が覚めて、運動がてら4つ隣の駅にあるIKEAに自転車で行く。距離にして13キロ。別に家具を買う予定はないけれど、来年の夏あたりには一人暮らしをしようか、と漠然と考えていて、部屋のレイアウトを考える材料にしたかったのだ。IKEAに行くのはそう言えば初めてだ。自分で家具を組み立てるのはクソだるいけれど、暇を持て余している自分ならやれるんじゃないかと思う。

 


ミニマリストになりたい自分として収納家具は最低限に納めたいんだけれど、思い浮かばね〜。とりあえずお金を貯めて欲しいものを買える準備はしておこう。

 


そんで、月曜日。午前中は有給を取っていた。健康診断で不整脈が発覚したので、再検査をしてその検査結果を聞くためだ。不整脈のほとんどは問題ないと再検査の時に先生から言われていたから、楽観的に日々を過ごしていたんだけれど、結果を聞く日の朝は少し緊張した。朝9時に予約していて、9時前に先生に呼ばれて、全く問題ないですとだけ言われてすぐに終了した。質問は何かありますか?と言われた時にサウナーとしてサウナ入っても大丈夫ですか?と聞いて、全く問題ないです、って言われて、心の中の自分がサウナ室でロウリュしていた(=嬉しかった)。

 

あまりにも早く終わってしまったので、家に帰って窓掃除したり、要らない本をブックオフで売ったりして過ごしていた。

 

充実しているっぽいけれど、着実にやることが無くなってきている。飲みに行きたいよ〜。早くコロナ収束してくれ〜。ボーナス早くくれ〜。

なかやまきんに君について

冗談めいたタイトルに聞こえてしまうかもしれないけれど、今年になってなかやまきんに君を好きになってしまったということについて書きたい。

 

なかやまきんに君を好きになったきっかけは確実にYotubeである。「ザ・きんにくTV」、「ザ・きんにくTV 2nd」というYouTubeチャンネルで筋トレについての情報発信をしていて、大体90万人くらいの登録者数だ。今年の中頃から見続けている。家で筋トレするときはほぼ必ず「ザ・きんにくTV」の筋トレ動画を見ている。

 

きんに君のダイエット理論は王道だ。

 

①正しいダイエットは、体重を減らすことではなく、体脂肪を減らすことだ。

②リバウンドしない身体を作るなら、筋トレをしよう。

 

食事を抜くような無理をするダイエットは、太りやすくなってしまうということをきんにく留学で得た知識を使って、わかりやすく解説してくれる。筋トレだけでなく、食事の取り方についても解説しているので、長期的に太りにくい身体を作りたいならぜひ見てほしい。

 

「ザ・きんにくTV 2nd」は30分ほどの長尺でディープな話をしているので、ランニング中によく聞いている。

 

筋トレYouTuberは何人もいるし、僕もいろんな人の筋トレ動画をたまに見たりするんだけれど、なかやまきんに君の動画を見続ける理由はなかやまきんに君の他者へ配慮する姿勢にとても好感を持っているからだ。

 

わかりやすいところで言うと、筋トレ動画に「初心者の方用」のやり方を必ず説明している。案外そういうことをしているYouTuberは少ない。

 

筋トレの話や食事の話をするときになかやまきんに君は、「もちろん個人差はありますけれども」とか「一概には言えませんが」といった言葉がよく出てくる。こういう言葉の端々にその発言に当てはまらない人々への眼差し、優しさを僕は感じる。

 

こじるりの炎上発言「筋トレをする意味がわからない」について反応した動画を見れば、なかやまきんに君がどれだけ全方位に配慮しつつ、筋トレの魅力を伝えようとしているかわかるだろう。

 

 

僕の周りには割と独善的な態度を取る人が多いけれど、なかやまきんに君を見習い、自分の発言がどう周りに影響を与えうるか、を考えて発言、行動するように努めたい。そう気持ちを新たにしました。

踏んだとこから星屑が

11月はうわの空だったように思う。夏から秋まで資格の勉強をしていた日々がそれなりに充実していたんだけど、10月下旬に旅行へ行ったものの、その後に何も予定がなかった。

 

会いたい人に会うのも憚られるようなこの頃だから、物欲をひたすら満たしていた。

 

たとえばスニーカーや洋服。もともと洋服をそんなひんぱんに買う人間じゃないが、あまりにも買わなすぎたのと、今の自分の感性からするとセンスの悪い服しかなかったので、買い漁った。多少満足した。スーツも買った。半額セールだから財布の紐が緩んで高いやつを買ってしまった。悲しい。ズボンのサイズが大きすぎやしないかと思うが、店員さんの言うことに従う。(痩せたら直してもらう)

 

ミニマリストになってやろうと思っているので、これからも過剰に服を買わないようにしたい。そう、ミニマリストになろうと思って大量に物を捨てていたのだ、最近。大掃除は寒くなる前にやった方が良いってテレビで見て、たしかにその通りだと思って、9月くらいから断捨離している。部屋から物がなくなると、精神も安定するように思う。部屋の乱れは心の乱れなんですかね。


spotifyでpop life musicを聴く。チェンソーマン回。大きな文脈で語ったり、アカデミックに語ってしまうその言語を大学にいるうちに獲得出来なかった、と感傷的な気持ちになってしまう。

 

 

word pressでブログを作ろうと思っていてまだ完成させてないんだけど、最初の記事はクンデラの『存在の耐えられない軽さ』で書こうと思っている。ブログで書くからには、読書感想文くらい自分に引きつけて書いてやろうと思っている。

 

今年を振り返るにはまだ早いけれど、今年読んで良かった漫画ベスト3をあげて終わりにする。

 

1.A子さんの恋人
2.君は放課後インソムニア
3.チェンソーマン

 

A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 1巻 (HARTA COMIX)

 

 

 

 

 

 





 


12月はおいしいもん食べたいね。

何も出来ない

以前のブログで書いたかは定かではないが、最近まで宅建の勉強をしていた。今年で3回目の受験だ。合格率は大体15〜17%くらい。国家資格の中では難易度の低い資格らしい。

 

難易度が低い、というネットの情報に踊らされ、過去2回の受験は無意識になめていた。仕事と並行して、資格の勉強をするという生活リズムになれず平日はほぼ勉強せず、土日もどちらか片方で3〜4時間くらいしか勉強していなかった。

 

その結果、合格点マイナス2点とか3点とかそういう成績で落ちていた。惜しいと思う人がいるかもしれないが、宅建は1問1点、全50問の試験で、明確な合格点はなく上位15%くらいを合格とするように合格点は毎年変動する。合格点は大体35点くらいに落ち着く。ボーダー付近の点数を取る受験生は多いので、惜しくはない。マイナス2,3点で来年は受かるだろ、と余裕をカマスとまたマイナス2,3点くらいで落ちる。だから3点の差は高い。

 

今年は会社で手配してもらった講座を受講した。6月末くらいから毎週日曜半日くらい講座を受講する。途中夏休みを挟んだりして、全14回の講座で、受講料はテキスト込みで3万円くらい。会社でどれくらい負担してくれているか知らないが相当安い。予備校でちゃんと受けたら20万円くらいかかるらしい。最近『二月の勝者』という中学受験塾を舞台にした漫画を読んでいて、塾とか予備校業界は金がかかってしまうんだな、と思っていたので、より20万円の重みというかリアルさを感じた。

 

 

受講料は確か給付金で払った。残りは貯金した。

 

今年の宅建勉強時間を計算してみる。

前半の講座は大体6時間くらいで後半の講座は模試を解いて解説なので3時間くらい。

6h×8回+3h×6回=66h

 

メインの勉強法はスタケンというアプリでの過去問演習。スタケンアプリは過去10年分の問題が解けて370円という破格の値段なので、下手に問題集を買うよりアプリを買った方が良い。

 

アプリで問題を演習している時間が記録されていて、40時間くらい。

その他テキストで復習するのが多めに見積もって30時間くらい。

 

過去2回の受験で流石に知識がそれなりにあったので、130〜140時間くらいの勉強時間。ユーキャンのサイトだと、合格に必要な勉強時間が300時間とあったので、過去2回分の勉強時間を足したら、それくらいになるかもなあと思う。

 

中高の受験勉強の経験を思い出してみると、僕は要領良く覚えられるタイプでは決してなくコツコツ努力タイプだった。今年の勉強は時間こそ少ないもののほぼ毎日ちょっとずつ問題を解いて知識を定着させていった。今回の成功体験を生かして、今後の勉強に活かしたい。

 

資格を無駄に取る人にはなりたくないが、今後、どんな資格を取ろうか。行政書士司法書士あたりか。司法書士で開業すれば、年収も大台に乗る可能性が大幅アップなので、30歳になるまでは目指してみようかと思う。

 

全然話は変わるが(むしろこっちが今回書きたかったことだが)、最近、有名人の自殺報道が多いように感じる。僕の周りの人で自殺した人は幸いなことにいないが、息苦しさ、生きづらさを感じている人が多い気がする。原因は十人十色なんだろうが、弱者を叩く風潮が嫌になってしまったことが原因の大きなものなんじゃないかと個人的に思っている。弱者を叩く人を徹底的に糾弾する人も中にはいるが、僕はそのやり方が嫌いだ。Twitterでフォローしていた有名人が差別思想を持つ人に粘着して晒しあげる様を見て、この人は正義のふりをしているが、人権を否定しまくって、自分を優位に置きたいだけなんじゃないかと思ってしまったからだ。

 

コロナ禍を通して、だいぶ自分のメンタルが鍛えられたので、他者を思いやる余裕が出てきたので、最近は息苦しさ、生きづらさを感じる人たちとどう関わっていくべきなのかをお風呂に入っているときや寝る前に考えたりする。親しい仲の人であれば、積極的に話を聞いてあげたいんだけれど、微妙な距離感の友人、知人に対してはどうすれば良いのだろうか。下手に関わるとよりその人を傷つけてしまうんじゃないか、という不安もあって、何も出来ない、という状態になってしまう。触らぬ神に祟りなし、とはいうけれど、それは自分本位に考えすぎなんじゃないか。僕は今まさに困っている人に対して何かアクションできる余地はないかを考えたい。

 

いまだに結論が出なくて、今年はずっと考えてしまうんだろう。頑張っている人の救いになるような何かを生み出せるようになりたい。

将来について悩んでみる

色んなことの歯車が噛み合わない日々が続いている。最近『ベイビーステップ』を読んで、不安要素を紙に書き出してみる、という方法でピンチを突破している場面を参考にして、最近うまくいかないことを書き出してみようと思う。

 

 

確実に自分はスキルアップしていると感じるけれど、周りをうまく引っ張れていない。今までの社会人生活で人に仕事を振るのが下手なことを自覚したので、なるべくはやいタイミングで上司に仕事がまわらない宣言をして、助けを乞うことにしている。

だけれど、今の上司はあまりマネジメントが上手なタイプではないから、具体的な助けやアドバイスはもらえない。結局気合で残業してレベルの低い成果物を作り上げる日々を送ってしまっている。

グループ全体を自分なりに俯瞰したときにボトルネックになっているのは確実に自分の所属している部署だと感じる。先輩は最低限の仕事しかしないし、仕事の仕組みを変えようという人間が少なすぎる。

 

それもあって、2020年度はルーチン業務を頑張ることよりも業務の仕組みを再構築することに焦点を当てて仕事をしている。今年入った新人が超絶できる人だから、たくさん仕事を手伝ってもらっているんだけれど、それだけだとどうしても馬力不足で、自分のキャパ不足を嘆いている。

 

ここ1年近くで自分の職場環境の悪化が凄まじい。組織を強化していかないとまずいことになるはずなのに、どんどん優秀な人材を他部署に排出していることも気に食わないし、上司よりも自分の方が絶対うまく仕事を回せるし、より良い方向に導けると思ってしまう。最近、他部署の偉い人から褒めてもらうことが増えたのが今のモチベーションになっている。

 

ワークライフバランスとしては、今の会社はかなり良い方なんだと思うが、仕事のやり方がアナログすぎて、生産性が悪すぎるし、その無駄なことにみんな時間を割いていることに不満は抱くのに変えようとしないのがどうしても嫌になってきてしまった。

 

今の会社だとザ・平均の年収を稼げるけれど、自分の満足するレベルほどは稼げない。今の将来の構想は、今の会社で平均的に稼いで、投資や副業である程度の手取りを稼ぐ、というものである。今の自分の年齢だったら、一人暮らしした方が良いし、したいんだけれど、会社と実家が近すぎる+健康的な食生活を過ごしたい(ちょっと前身体が絶不調だったので)+今まで散財しすぎてしまったため、貯金したいという諸々の理由で実家生活を過ごしている。1年後には部署を異動できるはずだから、そのときには再度将来の人生計画を見直そうと思う。

 

会社員生活が向いていると思ったけれど、最近のイラつきは会社員特有のものなのだろうか。それだったら、会社員をはやく辞めたい。とは言っても、自分にスキルがないからそんなにすぐには辞められないので、好きなことに時間を費やすようにしないといけない。好きなことでお金を稼ぐ生活、というのをしてみたいので、サイトを開設してみたけれど、資格の勉強で忙しくてなかなか手をつけられていない。小額で貼るけれど、お金を使って、サイトを開設したので、ちゃんと自分のやりたいことを作り上げていきたい。

 

恋愛もコロナのせいでなかなかうまくいかない。気になっている人と会う約束を3月ぐらいからしているんだけれど、お互い体調を崩したり、仕事が忙しかったりでタイミングが合わない。コロナが若干落ち着いている今、会いたいものだが、資格の試験がもうそろそろなので、どうしようかと悩んでいる。本来休みのはずなのに、昨日今日と仕事をしてしまっていて、勉強がろくにできていないし。恋愛下手すぎて、告白の仕方が全くわからない。『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観たので、なんとか気持ちを伝えられたらと思う。

石立太一『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

どれだけこの日を待ちわびたことだろうか。この1年間はつらい気持ちになっていたとき、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を見て乗り越えていた僕としては、この『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を映画館で観たらそりゃ泣いてしまうだろうなあ、と思っていたら案の定号泣だった。1回観ただけ感想がうまくまとめられる自信がなかったので、2回観て何に心打たれたのか掴めた気がするので、書いていこうと思う。ネタバレしてしまうと思うので、まだ映画を観ていない人は読まないでください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


本作は、暗がりの中、轍の残った道をカメラがゆっくりと進みながら映すショットで始まる。時計の針の音も鳴っている。

 

そのあと、TVシリーズ第10話で登場した、アンの孫のデイジーが親と喧嘩しているシーンへと移る。(10話見すぎて、家の外観だけでアンの家だ!って思ってしまった)床が軋む音、時計の秒針が進む描写が一瞬挟まれたりしていることで勘の良い人は気付くんだろう。TVシリーズから時間が経過していることを。もう自動手記人形という職業が廃れている時代になっているから、デイジーへ自動手記人形の説明をすることもとても自然で、脚本の巧みさに唸らされる。

 

TVシリーズで登場した数多くのキャラクターのうち、第10話のアンの家族が選ばれたのは、このエピソードが人気があるからとか、泣かせてやろうとかそういう理由ではないと僕は考える。TVシリーズ第10話でアンの母は死んだ後も長い時間をかけて手紙を送り続け、アンに対して最大限の愛を伝えていた。第10話は他のエピソードに比べて"時間"という要素が大きかった。ガス灯は電気に、手紙は電話に変わっていった時代でなお変わらないもの、そういうものを描くにはアンの家族を作中に登場させるのが良いに決まってる。

 

京アニは無駄な描写が一切ないから、冒頭を見るだけで、この映画のテーマが分かってしまう。「変わりゆく時代の中で変わらないもの」。そう意識してみると絶えず変化し続けるものとして水や風が本作では多く描かれていることに気付く。終盤の月明かりに照らされた海の美しさはもう絶品。京アニの底力はほんとにすごい。

 

TVシリーズや外伝でよく使われていた小道具であるぬいぐるみが今回ほとんど出なかったなあと思った。「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」におけるぬいぐるみは、誰かに対する想いを反映している。ヴァイオレットの部屋に置いてある犬のぬいぐるみは少佐を待つヴァイオレットの想いを、アンが持っているぬいぐるみはなかなか一緒に遊ぶ時間が取れない母への寂しさを、テイラーが持っている熊のぬいぐるみははなればなれになってしまったエイミーへの想いが込められている。ぬいぐるみが使われなかったのは、それだけヴァイオレットが成長したからなのか、それとも今回は誰かを想うことより想いを伝えることに焦点を当てていたからなのだろうか。

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細かい部分への指摘を先に書いてしまって申し訳ないけれど、あと気になるのは、鳥の描写。鳥の描写はぬいぐるみよりも多く登場してきていて、本作でもバッチリ描かれていた。絶対登場人物たちの心情を表現しているんだろうけど、どう解釈するのが良いのかあまり噛み砕けずにいる。今後の人生でも見続けていくアニメだと思うので、引き続き考えていきたい。

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そろそろストーリーについて触れていこうと思う。
まずユリスの物語について。ユリスは病気でこの1年間で3回も手術している。もうやせ細っている彼は死期を悟り、両親と弟に手紙を送ろうとヴァイオレットへ代筆の依頼をする。CMでヴァイオレットが「伝えられることは伝えられるうちに伝えた方が良いと思います」って言ってたからてっきり手紙を書くんじゃなく直接伝える方向に物語が進んでいくのかなと思っていたがそうはならなかった。


ただ目的はあくまで自分が死んだ後、両親や弟を元気付けてあげたい、という気持ちだから手紙じゃないとダメ、というのもわかる。ユリスとヴァイオレットがゆびきりげんまんをするシーンもとても良かった。(この映画は、"手"が結構印象的に使われている。過去の回想でヴァイオレットがはぐれないようにギルベルトと手をつなぐシーンとか。)

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ギルベルトについて。TVシリーズでは、聖人の如く描かれていた彼の人間臭い部分がたくさん描かれていてとてもグッときた。ヴァイオレットが戦争でたくさんの人を殺めたことを"火傷"をしていたと表現していたが、ギルベルトもまた"火傷"をしていたのだ。彼は、ヴァイオレットのことを道具ではないと言いながらも戦争へ駆り出して人を殺めさせていたし、最後の決戦ではヴァイオレットの両手を失わせてしまった。そんな罪の意識を感じているのだ。ヴァイオレットが家の前でギルベルトを呼びかけているとき、ギルベルトは扉に背を向けて火にかけた鍋を見つめていた。このシーンでギルベルトも"火傷"していることを暗に示しているのだと感じた(考えすぎか?)。ギルベルトとヴァイオレットが罪の意識で苦しんでいる姿と『聲の形』の将也と硝子を重ねてしまった。多少意識してるんだろうな。

 

ギルベルトの"火傷"を癒すきっかけにもなったヴァイオレットの手紙には、ギルベルトへの感謝がたくさん綴られている。ヴァイオレットが前に進めるきっかけにもなった第9話でホッジンズが言っていた「してきたことは消せない、でも君が自動手記人形としてやってきたこともまた消せないんだよ」のセリフを思い出さずにはいられなかった。ギルベルトはヴァイオレットに対して、ひどいことをしてきたと思っているけれど、優しくしてあげたことが決して消えていないし、ヴァイオレットの生きるみちしるべになっているっていうのが最高。(アレンジされた茅原実里の「みちしるべ」がかかるのも最高)彼らの火傷を癒すかのような美しい海も最高。

 

この大団円で終わるんじゃなくて、デイジーが親に「あいしてる」を伝える手紙を書くところまで描くのがほんと素敵。時代が変わっても誰かを愛する気持ちというのは変わらないんだ、ってことを自然と理解してしまう。

 

冒頭の轍の道をヴァイオレットが歩くシーンがほんとのラストシーン。観る人によってさまざまな解釈をするんだろうけれど、僕はヴァイオレットがみんなの「あいしてる」を紡ぎ続けることやこれからも伝えこれからも誰かの思いを伝え続けるんだという京アニの覚悟と受け取った。

 

動員数もかなり多いと思うけれど、もっともっと色んな人に観てもらって、心打たれて欲しいです。以上!