2014年に発売されたくるりの「the pier」を改めて聞いている。
今でもこれは買って正解だったな、その時に聞けて良かったと思うCDは意外と少ないんだけれど、くるりの「the pier」はそんな数少ないCDのひとつだ。
2014年というと、僕は大学3年生だ。色々あった1年だったわけだが、yogee new wavesの「paraiso」と出会って、シティポップの軽やかさに触れた年でもあり、保坂和志の濃密な語りに惹かれた年でもあった。
- アーティスト: Yogee New Waves
- 出版社/メーカー: bayon production / hmc
- 発売日: 2014/09/10
- メディア: CD
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くるりの「the pier」は、世界旅行である。くるりの音楽だけれど、確実にそれは日本ではないどこかの音楽だ。
音楽を語るための言葉を持たないけれど、世界旅行のようなアルバムのラストを飾るのが、there isだ。
アルバムのラストに流れるこの曲を聴いて、泣いてしまうくらい心が動かされるのは何故だろうか!?
さよなら 別れは辛いものだとして
ありふれたもので溢れかえる暮らしを捨てて
行くの 何処へ 海鳴りのする方
便り出せば届く そんな時代に生まれたんだよ
僕らは大したことはない
何か新しい道へ踏み出す始まりだ。その道は海鳴りがするほど過酷なようだが、シンセの気持ち良い音と共に鳴り響く王道ギターロックで歌われるから、力強い意思を感じる。この新しい道でも便りを出せばいつでも元の場所とつながれるんだという開き直りもある。しかし、
さよなら やっぱりね 抜け殻だよ僕ら
こんな弱さも出てしまう。そんな僕らに響くものは、あなた=レイ・ハラカミの残した音楽だ。それはあなたがいない世界でも確実にあるものなのだ。
there is always lights behind the clouds
lightsは雲の後ろにかくれているけれど、いつもそこにあるのだ。lightsの存在(の予感)は、僕らを後押ししてくれるのだ。
フーコーのパノプティコンが頭をかすめる。誰かに見られていること。誰かの存在を感じること。それが僕らの行動を(少しだけ)変える。と強く思わせる説得力がある。
日々の生活でそんな力強い、愛のあるthere isを感じていきたい。