on the road

カルチャーに関する話。

ロロ「はなればなれたち」

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向井川淋しいが、初めて演劇をやったのは小学校4年生の頃だったのね。っていっても、あたしはこのころまだ淋しいと出会ってないから、本当にそうだったかは知らないんだけど……。あたしが淋しいと出会うのは、もう少し先の未来。つまり、今から話すのは淋しいにあとから聞いたことと、あたしのこうだったらいいなって願望がミックスされた物語。だから正確には『向井川淋しいが、初めて演劇をやったのは小学校4年生のころだった、らしい』って言わなくちゃいけないのかも。でもね、あたしはこれから話すことを、あなたには本当のことだとおもってほしいの。全部本当で、全部本当におこったことだとおもって聞いてほしいの。そのために、あたしは『らしい』を消して、隠蔽して、話し始める。向井川淋しいが初めて演劇をやったのは小学校4年生のころだった、て

 

最近は、土日とも予定があったりして、ぐーぐー寝てるだけの休日を過ごせていない。少し淋しい。けど、そんな淋しさを吹っ飛ばすくらい待ちに待った劇団ロロの舞台「はなればなれたち」の公演を昨日観に行った。

 

劇団ロロの舞台に初めて行ったのは、瀬田なつき監督作品「PARKS」のスピンオフ「パークス・イン・ザ・パークス」という野外公演だった。「PARKS」にどハマりして、井の頭公園に初めて行ったのもこの頃だ。演者が舞台だけでなく観客席にもステージの外側にも動き回っていて、とても楽しかったのを覚えている。(話を細かく覚えていないけど、紙で桜の花びらを作って撒いたり、最後にみんなで花びらを拾ったりしたのがなんだか楽しかった)

 

ロロを初めて知ったのは、この公演ではなかったはず。ロロを知ったのは、enjoy  music clubの「100%未来」という曲がきっかけ。「100%未来」で三浦直之さんがフィーチャリングしていて、その歌詞で描かれている価値観が僕と似通っていて、どハマりしたのだ。そもそもこの曲を知ったきっかけはテレビ東京プロデューサーの佐久間宣行がTwitterでつぶやいていたから。佐久間宣行のANN0を聞いていても、 コンテンツ全部見男の名は伊達じゃない。

 

100%未来 (feat. 三浦直之)

100%未来 (feat. 三浦直之)

  • Enjoy Music Club
  • ポップ
  • ¥250

 

ロロの舞台はそのほかにいつ高シリーズを見たくらい。あと、DVDで「BGM」を見た。いつ高シリーズは「グッド・モーニング」と「本が枕じゃ冬眠できない」の2つしか観れてないので、他の作品も再演してほしい。いつ高シリーズのラストシーンの多幸感はなんなんでしょうか。ポップカルチャーが多く言及されるのは賛否があるかもしれないけれど、僕は賛成派だ。ポップカルチャーという共通経験があって、彼(彼女)とつながることができるのだから。舞台上の人物が「ハライチのターン」を聞いてると知った時には、この世界のどこかにこいつらはたしかにいるんだな、と嬉しくなった。

 

そういえば、今回の「はなればなれたち」は、ポップカルチャーの直接的な言及は少なかった。あっ、プリングルスくらいか(僕は、プリングルスポップカルチャーだという過激派である)。

 

「はなればなれたち」の物語の中心的人物は森本華さん演じる向井川淋しい、だ。森本華さんとはロロ居酒屋で少しお話させてもらったけれど、話したことのある人が舞台で演じてしかもキラキラ輝いているのを観るのは不思議な気持ちになる。

 

「はなればなれたち」は作品を作ったり、他の作品に影響を受けてさらに作品が作られて、という話でもあるんだけど、淋しさを肯定する話でもあると思う。まだ公演中だから物語に言及するのは控えるけれど、淋しさを肯定するというのは、ひとりでいることを肯定することではなくて、淋しさという感情が色んな景色に溶け込んでいって、あらゆるものが愛おしくなることだ。一緒ではないけれど、淋しさとか、そういう感情でつながったはなればなれな人たちの話のように感じた。(つながったり離れたりというテーマだからか、SNSのメタファーが多いと感じたのは僕だけでしょうか)

 

淋しさをあらゆるものへの愛に転化させるお話だったからか、色んな感情が刺激された。今後も劇団ロロを応援し続けたい。