on the road

カルチャーに関する話。

ロロ CIRCLE#1 「ホーム・パーティ」

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六本木ヒルズ森タワーの52階で、劇団ロロの舞台「ホーム・パーティ」を観た。15分という短い舞台なんだけど、その話をしたい。

 

10周年の集大成として作られた「はなればなれたち」の後、今後どんなものを作っていくのだろうか。僕はとても注目をしていたので、六本木ヒルズ森タワーで舞台をやると聞いて、手帳も見ずにチケットを購入していた。

 

ロロの新しいプロジェクトであるCIRCLEはまだ全貌が見えていないわけだが、疑似家族をモチーフにした物語らしい。

 

いま僕が書いているのはキャラクター6人のラフなプロフィールだけです。これを素材にしてロロメンバーとともにプロフィールを書き足したり年表をつくったり日記をつくったり家族写真をつくったりしながら、のんびりと家族を描こうとおもいます。そして、それはこれからのロロを考えていくことにもなるだろうとおもいます。役割を脱いだり付け替えたり繰り返して、場面によって関係性がコロコロと変わっていくような、そんな家族を探してみます。一緒にいたいという願いを呪いに変えないための「CIRCLE」。
よろしくお願いします。
三浦直之(ロロ主宰)

 

近くに展示スペースがあって、登場人物たちの日記を見たり、ラジオから流れる日記の朗読をイヤホンをして聞いたりできる。ラジオ、というメディアは今後のCIRCLEを考える上で意味があると思っている。今回の展示スペースにあったラジオはノイズが混ざり、どこかの音楽を拾ってしまっている。いつのまにか何かの影響を受けること、ここにいるのにどこか遠くから届いた声を聞いていること。ここにいるけど、ここじゃないどこかとつながっていること。そんなことを僕は感じた。

 

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ラジオの型番をせかせかメモしていた人は僕です。

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今回の登場人物はこんな感じだ。

岸辺末永(森本華) 岸辺家の父。71歳。整形して見た目が若い。

岸辺森子(篠崎大悟) 岸辺家の姉。35歳。料理代行の仕事をしている。

岸辺凛(島田桃子) 岸辺家の妹。28歳。劇団サンリオピューロランドの舞台美術を担当。

 

当たり前みたいに性別を超えて演技していることの素晴らしさよ。

 

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今回の舞台は森タワーの52階のエスカレーターがある場所で繰り広げられた。ベニヤ板に養生テープでバミって、岸辺家の部屋を表現している。小道具はあるもののテレビやテーブル、ソファなんかはバミリで表現している。観客は20〜30人くらいだろうか。ベニヤ板を囲んで鑑賞する。遠くの方で聞こえる誰かの会話もBGMのように思える。

 

「ホーム・パーティ」は、岸辺末永の誕生パーティの準備からパーティの始まりまでを描く。時間はゆるやかに流れる。床にほったらかしにされているTシャツをたたんだり、テーブルにくっついたドラえもんのシールをはがして懐かしく思ったり、窓の外?を眺めて遠くに想いを馳せたり。

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岸辺凛がエアコンのリモコンを操作したすぐ後に、岸辺森子がリモコンをいじる。末永が帰宅したら、末永もリモコンを操作する。リモコンを操作しても何も言わない関係性っていいな、と思っていたけれど、違和感に気づく。ベニヤ板のバミリをよくみるとソファが3つあるし、キッチンも2つ。テレビも3つ。終盤テレビを見る場面があるのだけれど、それぞれが別のTVをみている。登場人物同士が会話しているから、たしかに同じ空間にいるはずなのに、それぞれが別の生活空間をもっていて、部分部分で家族と重なっている。一緒にいるけど、まったく一緒ではない、そんな奇妙なつながりを感じた。

 

そういえば、星野源の「ばらばら」もそんなことを歌っていなかったか。

 

ばらばら

ばらばら

 

世界はひとつじゃない

ああ そのまま ばらばらのまま

世界は ひとつになれない

そのままどこかにいこう

 

気が合うと見せかけて 重なり合っているだけ

本物はあなた わたしは偽物

 

あの世界とこの世界

重なりあったところに

たったひとつのものが

あるんだ

 

ばらばらでも、つながっていられるようなつながり、もしくは一緒にいてもまったく一緒じゃなくて良い気楽さ。ロロはそんな物語が紡がれていくのじゃないか。そんな想像をしながら、家路につく。