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カルチャーに関する話。

『響け!ユーフォニアム』すげえ

Twitterを見てくれると分かるように最近アニメをたくさん見ている。

 

 

 

元々アニメを見る習慣もない僕が、この1週間で2クールのアニメを2作品プラス劇場版2本見たんだから、ものすごいハマりようだ。きっかけは間違いなく『映像研には手を出すな』で、他にも熱量を感じるアニメを見たくなったのだ。それで見始めたのが、『響け!ユーフォニアム』だ。とにかくこのアニメのキャラクターの内面が豊かで、誇張はあるものの、生きてる、と感じる。まだアニメ化されていない3年生編も原作を購入して、読んだ。主人公の久美子の最後を見届けて、とてもさみしくなってしまうくらい、入れ込んでしまった。

 

主人公の黄前久美子の担当するユーフォニアムは、“Euphonos(良い響き)”というギリシャ語を語源としている。良い響きを志す=上手くなるために前を向いて頑張ること。シンプルだが、それがこの作品のテーマだ。

 

1話の冒頭シーンから引き込まれる。中3の県大会で久美子のいた北中は金賞を受賞するが、いわゆるダメ金で関西大会に出場できなかった。目標に掲げていた全国出場は叶わなかったのだ。久美子は、金賞を取れてホッとしているが、隣にいた麗奈は泣いている。久美子は麗奈が嬉しくて泣いているのだろうと思っていたが、麗奈は「悔しくて死にそう。なんでみんなダメ金なんかで喜べるの?わたしら全国目指してたんじゃないの」と声を震わせる。それを聞いて久美子は思わず「本気で全国行けると思ってたの?」と言ってしまう。 

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1期1話

 

この短いやり取りで久美子は痛いところを突く言葉を思わずぶつけてしまうところがあることが伺える。悪気があって言った言葉ではないので、久美子は麗奈にかけてしまった言葉を高校に入っても引きずっている。かといって、久美子はすぐに情熱を持つわけではない。北宇治高校の吹奏楽部ははっきり言ってしまえば、下手だ。吹奏楽部に入ったのも友達の誘いに流されたからで、ユーフォニアムも3年生である田中あすかに半ば無理やり誘われたからだ。

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1期2話

 

新しく赴任してきた滝先生が吹奏楽部の顧問になり、建前のように掲げられた全国大会出場という目標にいつしか部員全員が真剣に取り組むようになっていく様が本当に青春を感じる。担当するパートを削られ、悔しさをにじませて「上手くなりたい」と言いながら帰り道を走り出す久美子はもはや1話の頃の冷めた久美子ではない。

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1期12話

僕がこのアニメで一番好きなのは、久美子とあすか先輩の関係だ。

あすか先輩は、吹奏楽部の副部長で低音パートのパートリーダーでムードメーカー的存在だ。成績も優秀、演奏もうまい、常に周りを見ていて、いざという時に頼れる先輩的ポジションではあるけれど、この先輩は終始、人を食ったような態度で、どこまでが本音でどこまでが冗談か分からない。

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1期1話

2期の終盤で明かされるが、あすか先輩の父親はユーフォニアムのプロの奏者である。既に離婚しているため、家にはおらず、父親に会うために密かに全国に目指していたのだ。父親がユーフォニアム奏者だからか、ユーフォニアムへの愛も人一倍強い。しかし、受験勉強を優先しろという母親の束縛で全国大会に出れなくなる。割り切ってさっぱり諦めようとするあすか先輩を久美子が説得するシーンは最高に熱い。

 

子供で何が悪いんです!

先輩こそなんで大人ぶるんですか?

全部わかってるみたいに振る舞って!

自分だけが特別だと思い込んで!

先輩だってただの高校生なのに!

こんなののどこがベストなんですか?

先輩、お父さんに演奏聴いてもらいたいんですよね? 

誰よりも全国行きたいんですよね?

それをどうしてなかったことにしちゃうんですか。

我慢して諦めれば丸く収まるなんてそんなのただの自己満足です!

おかしいです。待ってるって言ってるのに…、諦めないでくださいよ。

後悔するってわかってる選択肢を自分から選ばないでください…!

諦めるのは最後までいっぱい頑張ってからにしてください!

わたしはあすか先輩に本番に立ってほしい!

あのホールで先輩と一緒に吹きたい!

先輩のユーフォが聴きたいんです!

 

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2期10話

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2期10話

 

久美子は、思わず相手の痛いところをついてしまう発言をしてしまうことはあれど、自分から気持ちを伝えることはあまりなかった。そんな久美子が自分から積極的に気持ちを伝えるのが熱いのだ。

 

3年生の卒業式の日の別れのシーンは僕もあすか先輩がいなくなることがさみしくなってしまうくらいだ。

 

久美子「わたし、先輩のこと苦手でした。先輩だし、同じパートだから思わないようにしてましたけど、なんか難しい人だなあって思ってました。もしかしたら嫌いだったかもしれません。」

あすか「(笑い)それが言いたかったこと?」

久美子「おかしかったですか?」

あすか「そりゃあねえ。だって、そんなことわかってたし」

久美子「わかってないです。だって今は大好きですから。あすか先輩、絶対本心見せてくれなくて、いつも上から見下されているようで。友達のことどうでもいいとか言うし。でも、今は寂しいです…。先輩がひくユーフォもっと聴きたいです。わたし、あすか先輩みたいなユーフォが吹きたい!」

 

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2期13話

 

先輩を大好きな久美子とそんな後輩に優しく接するあすか先輩の関係性がすごい愛おしくなってくる。後悔しないように何かに熱中すること、誰かを想うこと、そんな大事なものをたくさん伝えてくれるアニメに触れて、とても元気になった。まだ見ていない人にはネタバレになってしまう部分が大きいと想うけれど、細かい演出のことは触れていないし、これくらいじゃこの作品の魅力は全く褪せないので、早急に見てください。アニオタじゃなくても見てください。