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カルチャーに関する話。

アジズ・アンサリ「当世出会い事情」①

GW休暇明けで、会社のみんなは少し憂鬱な気分を帯びた表情をしながら出勤しているけれど、GW休暇と呼べる程度に休んでいない僕は、そこそこ元気に仕事をしていた。仕事終わりもそこそこ元気で、積読本を漁ったりなんかする。

 

 

当世出会い事情――スマホ時代の恋愛社会学

当世出会い事情――スマホ時代の恋愛社会学

 

 

それで手に取ったのがアジズ・アンサリ「当世出会い事情ーースマホ時代の恋愛社会学」だ。(この副題のダサさはなんとかならないのだろうか)

 

会社の同期や友人で読んでいる人はいないと思う。ただ僕はアジズのことが好きなので、本を買ってしまった。アジズ・アンサリはアメリカのコメディアンで、Netflixにも何個かスタンダップコメディが見れる。僕が好きなのは「アジズ・アンサリの"今"をブッタ斬り!」だが、アジズの経歴を知らないと楽しめない。

 

 

 

 

僕が好きなのは何と言っても「マスター・オブ・ゼロ」だ。アジズは主役でありながら、制作にも携わっている。コメディドラマでありながら、エモーショナルなシーンもたくさんあるし、登場人物全員、欠点があって、だけど愛おしい。

 

 

s1のラストの飛行機に乗るシーンでこのドラマシリーズが大好きになり、s2-4,8でオールタイムベストにランクインした。まだ見てない人はステイホーム中に見るべし。

 

話がそれたが、「当世出会い事情」は昔と今とで恋愛のあり方がどのように変容したのかを論じている。アジズも僕と同じように女の子から返事が来なくてドギマギしたことがあったらしく親近感が湧いた。まだ途中までしか読んでないんだけど、忘れないうちにブログに残す。

 

おじいちゃんおばあちゃん世代は運命の人をどこで見つけたか想像できるだろうか。今どきの恋愛は遠距離も当たり前、大学も職場も違う人と恋愛関係に発展することがままあるが、おじいちゃんおばあちゃん世代の1/3が半径5ブロック以内の人と結婚していた。幼なじみと結婚する、なんて漫画でしかありえないことだと思っていたが昔は割とありえることだったのかもしれない。

 

「みなさん」僕はいった。「ここはニューヨークですよ。考えたことさえないんですか、ああ、もしかしたらこのアパートの外にも人間がいるんじゃないか、って。なぜそんなに自分を制約するんです? 視野を広げてみたら?」

お年寄りたちは肩をすくめ、だってそうならなかったから、というばかりだった。

 

また、今どきの人は運命の人と出会いたい、という感情が強く、実際にそう感じさせてくれる人と付き合い、結婚していくのだが、昔の人はどちらかと言えば経済性や政治性を優先した。

 

現代の我々は、最初からとてもじょうねつてきな、あるいは沸騰するような気持ちを求めている。昔の人は、沸騰しているものなど求めず、水を必要としただけだった。水が見つかって、ともに生きることを誓ったら、全力で温度を上げたのだ。現代では、沸騰していないなら、結婚するには時期尚早とみなされる。

とはいえ、赤い糸の相手を探すには長い時間がかかるし、とことん精力を傾けなければならない。問題は、そうやって完璧な相手を探すことが多大なストレスを生みかねないということだ。若い世代には"ぴったりの人"を探さなければという大きなプレッシャーがのしかかる。"まあいいか"でまあよかった時代には、そんなプレッシャーなんて存在すらしなかったのに。

 

なんてことが1章に書かれている。たしかに今どきの人は身近な人よりももっと良い人がいるのでは?という価値観を持っていると思う。人と恋愛関係になろうとするとき、選択肢(出会う人)は多い方がいいのか。マッチングアプリが普及した時代におけるボーイミーツガールはいかにロマンチックな物語を紡げるのか。そんな想像を膨らませながら、少しずつ読み進める。