on the road

カルチャーに関する話。

残りもののカレー

金曜、友達にビールが半額だからと誘われて、神宮球場へ行った。お昼に後輩とご飯を食べているときに、「明治神宮に野球を見に行くんだ」と話すと、変な顔をされた。神宮球場のことを明治神宮と言い誤ってしまったことに気付き、慌てて訂正する。

 

本当は早上がりするつもりだったけれど、打ち合わせが長引いてしまい早上がりすることは叶わない。一緒に行く友達もプレイボールには間に合わない。社会人生活もそろそろ中堅と呼んで差し支えないくらいになっていて、突発的な業務が発生したら対応せざるを得ないんだろう。残業という言葉は単に「定時後に残って業務をする」という意味であるはずなのに、"残"という文字がお前はまだ仕事が残っているんだろうと会社側の冷たい視線を想起し、主体性を奪われた気になる。残業中の雑談は楽しいけれど、生産性はきっと良くない。

 

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今週夜更かしをして、「三島由紀夫vs東大全共闘」を見た。1969年5月13日、東大駒場キャンパスの900番教室で三島由紀夫と東大全共闘公開討論会が繰り広げられていた。学生の問いかけに三島は真摯に応じていくが、討論はむなしく空転していく。東大全共闘の論客のひとりとして登場する芥正彦の主張は詭弁としか思えなかった。三島を言い負かしてやろうと、論理より言葉の鋭さを選んでいた。

 

太平洋戦争の頃の若者は国の行く末に自分の生死が左右されるという経験を持っている。お国のために命を落とすことが一種の美学ですらあった時代に終戦を迎え、生き残ってしまった者はどのように自分の価値観に折り合いをつけていくのか。三島の思想の変遷を読み解いていきたい気持ちになる。

 

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今週はスペシャルウィークマヂカルラブリーのANN0のゲストにONE PIECE考察系YouTuberであるもっちー先生が登場していた。「ONE PIECE」考察がここまで大きいコンテンツへ成長していることに驚く。なぜ「ONE PIECE」にそこまで夢中になる人が増えているのか。その理由のひとつとして、「ONE PIECE」は次世代に意思を受け継いでいく物語であるからだと言い切ってしまいたい。

 

世界政府に隠蔽された、ポーネグリフに刻まれた空白の100年の歴史。それを読み解こうとしたオハラの学者達はロビンを生かそうとした。ドクタードリトルは人が死ぬときは人に忘れられたときだと叫び、黒ひげは人の夢は終わらねえと馬鹿にする者どもを笑い飛ばす。103巻でもいまだに明かされないその歴史の全貌や先人の意思を夢中になって考察してしまう。

 

最新話まで読んでから、第1話を読み直していくと、ルフィの初登場時、ルフィのTシャツにリレーの最終走者という意味のANCHORという文字がプリントされていることに胸がアツくなる。

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もうすぐ29歳になるからか、結婚する同級生の友達が増えてきた。ライフステージが上がっていて、家庭の話なんかが話題になっていく。昼までぐだぐだ寝てばかりの僕はすっかり取り残された気分になる。「東京タラレバ娘」を読んでこの人達は何をこんなにあせっているんだろう、という気になったが、今は少しわかってしまう。何回も登録しては放置していたマッチングアプリをやってみる。いいねが届くと承認欲求が満たされる。MONO NO AWAREのイワンコッチャナイという曲の「彼女のすり減らした親指にキスを」という一節が好きで、いいねを繰り返す行為をこう表現できるんだ、と感心したことを思い出す。

 

渋谷で奇奇怪怪明解事典のイベントを見に行く約束をした。渋谷でデートって何をすればいいんだ?という話を飲み会で聞こうかと思ったけれど、みんながライフステージが上の話をあまりにするものだから、話し出せなかった。僕のことを無口だという人が多いが、自分をさらけ出す勇気がないだけだ。ブログだとギリギリ自分のことを書ける。内弁慶の極み!

 

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試合の内容はよく覚えていないけれど、ビールはおいしくて、その日のうちに頭痛がする。翌日には頭痛は残っていなかったけれど、土曜日を半日つぶしてしまう。お腹が空いたので、残りもののカレーを温める。