on the road

カルチャーに関する話。

あたたかいおしぼり

あたたかいおしぼりが出てきて、手を拭くと自分が思っていたより手が冷えていた。思えばこの頃寒くなってきたというのに暖房をまだつけていないであたたかい紅茶を飲んでごまかしている。

 

寒い季節に入るサウナは格別である。同じサウナに週1以上で通い続けて、1年半くらい。色んな時間帯に入るけれど、やっぱり午前中に入るのが気持ち良い。人も少ないし。早朝5時から営業してるから、その時間帯に行くのがベストだけれど、10回に1回しかちゃんと起きれない。

 

今日は午前中にサウナに入ってから、隣駅の図書館まで自転車で向かう。家の近くには本屋がないとよく嘆いていたけれど、隣駅まで自転車をこげば図書館があることに思い至り、何も予定のない休日は足を運ぶようになったのだ。どこで見聞きしたか覚えていないが、本屋の数はどんどん減っているけれど、図書館の数は最近増えているらしい。そういえば、新しい商業施設の上階に図書館があるところをたまに見かける。商業施設に入っている図書館は、ビジネス書、実用書の比率が高くて、思っていた図書館とちがうなと踵を返してしまうことが多い。

 

図書館に着いて、まず絵本コーナーへ向かう。最近お付き合いを始めた方が「こんとあき」のLINEスタンプを使っていて、どんな本なんだろうと気になっていたのだ。絵本コーナーの棚をまじまじ眺めるのは小学生低学年ぶりで面白い。背丈の違う絵本が同じ棚に収まっているからか、探すのに苦労する。何なら著者順に並んでいない。こどもが手に取って適当に戻したに違いない。気になって絵本を取り出す、その行為の残滓を感じて、本棚の雑多さは気にならなかった。

 

絵本はすぐに見つからず、司書に声をかける。一緒に本棚を探して「ないですね」と言われ、肩を落とすが、「裏に同じ本あるので、取りに行きますね」とカウンターの裏にある扉の中へ入っていく。そこにも本があるんだなあ、とぼんやり待っていると、無事に本を受け取る。図書館内で早速読む。

 

キツネのぬいぐるみのこんと小さな女の子のあきのお話。あきが生まれる前におばあちゃんにぬわれたこんはあきの前では、気丈にふるまう。その姿が愛おしい。腕がほつれてもだいじょうぶだいじょうぶと声をかけるこんの姿を切なく感じてしまう。

 

 

 

図書館で適当に本を読むのも好きだ。「アンケート調査年間2022」という本を手に取る。この1年間で取られたいろいろなアンケート調査の結果が収録された本。その1年の社会の雰囲気を嗅ぎ取るのにちょうど良い。リモートワーカーへのアンケートで今よりも出社頻度を上げたいと回答した人の理由について、5%くらいの人が「恋愛対象となる人に会いたいから」と回答していた。学校生活と同じようなささやかな楽しみが会社でもあり得ること、それがコロナ禍で損なわれてしまった人がいることに思い至ってなかった。

 

 

 

郷土資料のコーナーを適当に眺める。郷土関連作家のコーナーに深沢七郎の本が置いてあった。あれ、深沢七郎って山梨あたりの出身じゃなかったっけとスマホで検索したら、1965年くらいから菖蒲町(今の久喜市)にラブミー農場を開設して、定住していたらしい。そのほかにも後藤明生の名前もあった。後藤明生は図書館のある松原団地に住んでいた。当時とは大分様相が変わっているとは思うけれど、この町に後藤明生が住んでいたんだ、と少し嬉しくなる。「挟み撃ち」しか読んだことないけれど。

 

図書館にはボランティアの人がたくさんいて、本を整理していた。おそらく来館者の質問にも答えてくれるんだろう。司書は低賃金だ、という話をよく聞くけれど、今はボランティアで手伝ってくれる人がいてなんとか成り立っている。ボランティアの方とすれ違うたびに少し頭を下げてしまう。