on the road

カルチャーに関する話。

振り返り2022

今年は色々なことにチャレンジした年で一〇〇点満点とはいわないまでも、ここ数年ではいちばん充実した年なのではないか。その分、体調を崩す回数もここ数年でいちばん多く、自分の生活を見直さねばとも思う。

 

そう思いたくなくて、言語化してこなかったが、会社で少しずつやりがいを感じることができるようになってきた。今までは労働は糞だ、と思ってきたし、今でもたまに思うけれど、人生の大半の時間を費やす労働に心血注ぎ込むくらい熱中してもいいんじゃないか、と今は思える。熱量のあるものに触れる度にその思いを強くする。後輩も増えてきて、指示される立場から指示する側へ立場は変わり、自分発信で仕事のやり方を見直したり、新しい企画を立ち上げたり、多少なりとも誰かのためになるであろう成果を生み出せているんじゃないか。そういう自惚れに近い気持ちをモチベーションにして仕事をしている。

 

「ブルーピリオド」の1巻でサッカーの試合を見て友達と盛り上がってるときに八虎が「これは俺の感動じゃない」と思うコマがぐさっと刺さる。僕はこの1年、漠然と何かを生み出したい欲にまみれていて、けれどそれをおおっぴらに公言できるほどの勇気はなく、ひそかにブログを書いたり、創作活動のネタを収集していた。仕事以外の場面での自己肯定感の低さは相変わらずだが、来年も引き続きいろいろなことにチャレンジする一年にしてやろうと思っている。

 

以上、簡単な総括と来年の抱負。以下は、今年の面白かったものの振り返り。

 

 

映画

ジョン・ワッツスパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

トビー・マグワイアアンドリュー・ガーフィールドトム・ホランドが一堂に会すだけでこれまでのスパイダーマンファンは落涙必死なのだけれど、別世界線ヴィランを救ってやろうという方向で物語が動いていくのがたまらない。ここまでの大作映画でヴィランも救うべき存在として認識したヒーロー映画はなかったんじゃなかろうか。過去2作品の学園もの感も大好きだけれど、スパイダーマンとしての覚悟を決めたラストにとっても感動した。フェーズ4は善悪の境界線があいまいな感じになっていくのか、とも思っていたが、全然そんなことはなくて、今後のMCUは追わなくても良いかなという気持ちになりつつある。ディズニーが絡み出してからのMCUはあまり好きではないなあ。

 

マイク・ミルズ『カモンカモン』

伯父と甥っ子の共同生活を描いた映画。ふたりはわかり合えたようでわかり合えない部分があって、でもわかり合えなさもひっくるめて受けいれるという展開が良い。家族だからといって、100%相手のことを理解する必要はないし、わからない部分があっても信頼関係みたいなものは築けるんじゃないか、そう思った。

 

シアン・ヘダー『コーダ あいのうた』

聴覚障害のある親を持つ子どものことをコーダと呼ぶことをこの映画で知った。両親や兄との会話は手話で行われて、基本的には字幕が付くのだけれど、ラストのハンドサインには字幕が付かない。映画を観た後にラストのハンドサインの意味を調べて、その意味をじんわり噛みしめるところまでがこの映画を観るということだと思う。

 

ポール・トーマス・アンダーソンリコリス・ピザ』

美男美女が出るわけではないこの映画にとびきりの愛らしさを感じる。『フォレスト・ガンプ』ばりに走るシーンが印象的で、良い映画とは走るシーンが最高な映画だと暴論を言いたくなるくらい好き。

 

森井勇佑『こちらあみ子』

不気味さ、不穏さが満ち満ちていて、体力を奪われまくる映画。原作信者も納得させるクオリティだし、今後注目すべき監督のひとりであることは間違いない。

 

ジョーダン・ピール『NOPE』

観ることにまつわる映画であり、観てはいけないものをフィルムにおさめてやろうという欲望に満ちた映画。スマホサイズの画面ではなく、なるべく大きな画面で見ることが推奨される。

 

ドラマ

西田征史『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』

今年もドラマを最後まで観れなかったものが多かった。『初恋の悪魔』、『silent』、『エルピス』…。『石子と羽男』も最後まで観れていないのだけれど、今年いちばん面白かったものは、と問われたら、『石子と羽男』と答えると思う。1話のエッジの効いた展開で引き込まれて、中盤くらいのファスト映画のエピソードの結末に震えた。ネトフリやアマプラのオリジナルドラマも面白いのが多かったらしいが、見逃し続けた。年末年始の休みに『モアザンワーズ』、『初恋』は観ようと思う。

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演劇

ダウ90000『ずっと正月』

ダウ90000は去年のM1の3回戦の動画を見て、好きになって、それ以降の単独公演は見に行っている。再演とかしてくれないかな。

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ロロ『ロマンティックコメディ』

タイトルの割にわかりやすいコメディ感はない。言いよどむシーンは何回もあるし、劇中の読書会で何かがはっきり解読されることもない。「物語と思い出の距離を私は読む」という台詞がやけに染みる。

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劇団ノーミーツ『あの夜を覚えてる』

オールナイトニッポン55周年企画の公演。ニッポン放送の社内を舞台にリアルタイムで配信された公演で、そのコンセプトも含めてめっちゃわくわくしたことを覚えている。ラジオで本音を言い出せなかった千葉雄大が自分をさらけ出したあの瞬間、ラジオ最高~~って気持ちになった。creepy nutsと幾田りらがコラボした「ばかまじめ」はこの一年でいちばん聞いた曲。この企画に関わっている人の何人かはアルピーのANNに関わっているスタッフで、あの熱量のあるラジオをやってきたメンバーだからこそできた企画だったんだろうと胸が熱くなった。TBSラジオ大好きマンだったけれど、ニッポン放送の方が今は好きかもしれない!

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ヨーロッパ企画『あんなに優しかったゴーレム』

いるはずもないゴーレムを信じる町に来たドキュメンタリー番組のクルーは最初、馬鹿にしていたけれど、やがてゴーレムがいるかもしれないと信じ始める話。ペガサスも登場し始めて、笑える場面も多々あるけれど、本当はゴーレムはいないかもしれない、という不穏さも通底していて、面白かった。

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ナカゴー『ていで』

正直言うとそんなに好きではなかったはずなのだけれど、最近三井不動産のCMの広瀬すずの「やめてよ~」の台詞を耳にする度、この舞台の一場面を思い出してしまって、好きになってしまった。

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漫画

尾田栄一郎ONE PIECE

まさか自分がここまで『ONE PIECE』にどハマりするとは思わなかった。どこかで書いた気がするけれど、『ONE PIECCE』は継承の物語で、先人たちの意思を継ぐ者としての麦わらの海賊団の動向をこれからも本誌で追いかけたい。

 

 

つるまいかだ『メダリスト』

結束いのりの母親は毒親っぽく描かれているんだけれど、最近読み返したらちゃんといのりちゃんを認めてあげることができていて、ちゃんと成長している。親も人間なんだなと素朴に感じる。コーチの綾小路司といのりちゃんの関係性はその年齢差から親子っぽく描かれるのかなと思っていたけれど、お互いを信頼して尊重していて、バディもののように描かれる。これからの物語もめちゃ楽しみ。

 

 

 

ラジオ

「奇奇怪怪明解事典」、「脳盗」

Dos MonosのTitan、MONO NO AWAREの玉置周啓のふたりがやっているPodcast番組「奇奇怪怪明解事典」は初回からではなくて、ふたりの関係性が構築され始めた中盤から聴くとどハマりする。この番組をきっかけに知識欲がまたふつふつわいてきて、自分の生活の中に読書する時間が生まれた。好きなエピソードはたくさんあるけれど、ぱっと思いつくのは、zoom会議はなぜしんどいの回。秋からTBSラジオの「脳盗」が始まって、「それってあなたの感想ですよね脳」の回が大好き。あと初めて自分のメールが読まれた思い出深い番組でもある。これからも長く続いてくれ!

 

マヂカルラブリーのANN0」

今までもうっすらマヂラブのことを好きだったのだけれど、ラジオを聴き始めてから大好きになってしまった。野田クリスタルがケータイを買い換える話が大好き。「日常系チーターを闘わせてみたのだが」のコーナーの馬鹿馬鹿しさも大好き。

 

「令和ロマンのご様子」

今年のM1グランプリでファンになってしまったコンビが令和ロマンだ。ドラえもんという使い古されたネタで新しいボケを何個もしているし、くるまがケムリをさわるところが妙にねっとりして気持ち悪いところも好き。stand fmで無料で全回聴けるので、敗者復活戦の動画を見て、好きになった人はぜひ聴きましょう。

 

本と音楽は今回はなし!(寝過ぎて時間なかった)良いお年を!