on the road

カルチャーに関する話。

宇宙に行く

 

宇宙に行く夢を見た。正確に言うと、ロケットに乗り込むまでの夢。漠然と退屈を感じていたこの頃なので、何かに挑戦したい気持ちが表れているのかな、と安直に想像する。TVで流れる占いは信じないけれど、夢占いは信じてしまう。

 

宇宙に行きたいという気持ちはあまりない。宇宙服だったり、ロケットの中が閉所のように感じて、息苦しく感じてしまう。幼少期、兄が僕を掛け布団のカバーの中に僕を閉じ込めてきたことが軽くトラウマになっているのだと思う。最近、ジャンプラの読み切り作品である「低天井の家」を読んで、忘れかけていた閉所への恐怖がよみがえる。

 

 

怖いという評判を聞いて、読んだ「フォビア」にも閉所の話があった。案外はやく閉所から解放されたから、「低天井の家」ほど、恐怖を感じなかった。ホラー漫画をあまり読んでこなかったから、「フォビア」の7話の笑顔恐怖症の話くらいのコミカルで明るい終わり方をしてくれると嬉しい。

 

 

後、大きすぎるものも怖い。惑星の鮮明なCG映像を見るのも少し勇気が要るのだけれど、こういう人は結構いるのだろうか。後、googleの地図アプリで日本地図や世界地図と同じくらいの縮尺になるくらいピンチインさせるのもちょっと怖い。旅行先を調べるときもあまりピンチインせずに見ることが多い。

 

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宇宙の夢を見たからということで、GEOで「宇宙兄弟」を借りて読む。

 

 

今まで、宇宙飛行士になるという題材にあまり魅力を感じず、敬遠していた。けど、やっぱり自分の知らない業界の話はめちゃ面白い。JAXAの新規宇宙飛行士選抜試験の3次試験のところまで読んだ。閉鎖空間で5人で2週間共同生活をしながら、課題をこなす。宇宙飛行士というのは、閉鎖空間で過ごすから、チームワークが想像以上に求められるのだということを思い知った。それを試すために、ある日JAXAの職員から指令が書かれたグリーンカードを渡されて、チームの輪を乱すようなことを指示だとバレないようにわざとこなす。こういうのを実際にやっているのかはしらないけれど、めちゃ面白い。

 

課題自体もおもしろいのがあった。あるコメンテーターが「宇宙開発は莫大な資金がかかる割に科学的成果を上げられていないじゃないですか。地球上に解決すべき課題がまだ山積みなのにそんなことにお金を使うのはどうなのか」的なことをワイドショーで発言している場面を受験者に見せて、JAXAはこのコメンテーターに抗議文を送ることを検討している。このコメンテーターに宇宙開発を行うことを納得させる文章を書け、というもの。

 

受験者たちはそれぞれ紙に自分の主張をまとめるのだけれど、主人公は白紙。抗議はしない、という選択肢を選ぶ。言葉じゃ、凝り固まったコメンテーターの考えを変えることはできないから、宇宙に連れてくしかないという回答がクールだと思った。その発言を聞いてか、理事長は抗議文を送るのを辞め、「僕らにはそんなヒマはないよ」とつぶやく。

 

冷笑系というか、宇宙開発の営みを無碍にするような輩にかまっているヒマはないっていうスタンスもかっこいいし、体験することの魔力を端的に表現できてるのもかっこいい。

 

宇宙兄弟」の主人公の年齢が31歳。3次試験に50代のおじさんもまざっていたから、宇宙飛行士は身体能力とかもちろん大事だけど、年齢とかあんまり関係ないんだなと思った。ちょっと前にやっていたタモリオールナイトニッポンで、タモリさんが芸能界に入ったのは30歳と言っていた。星野源がソロデビューしたのは29歳。それまでの経験の量が段違いだけれど、決心するなら今だぞと言われている気がした。