カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』の読書会のために眠い目をこすりながら、ななめ読みしたから、場面描写がよく分からず入り込めなかった。アメリカ文学はそんなに苦手じゃないと思っていたが、ユーモアをたっぷり込められると一歩引いてしまう自分を発見した。でも、好きな描写はたくさんある。たとえば、主人公のマラカイ・コンスタントの好青年ぶりを形容する表現のひとつに「詩人の唇」というものがある。詩人の唇。彼の唇から発せられる言葉は詩情に溢れているということなのか、詳しい描写はないけれど、詩人の唇という表現をえらく気に入った。
山本浩貴の『新たな距離 言語表現を酷使する(ための)レイアウト』を読み始めた。僕の好きな小説観のひとつに小説を実験の場と捉えるというものがある。僕が保坂和志やクンデラが好きな理由は小説で思考する、新たな生を生きる、みたいなことを大真面目にやってるからである。
※明日に続く。