on the road

カルチャーに関する話。

詩人の唇と実験②

保坂和志クンデラカフカから影響を受けている。カフカの本はあまり読んだことがない。高校生の頃に『変身』を読んで、エンタメ小説ばかり読んでいた僕はあまり内容が分からなかった。

 

書くことで思考する。僕は頭の中だけでロジカルに思考していくことはできない。仕事の場においてもそれ以外の場においても、まず足がかりとなる言葉を探していくところから始める。足がかりとなる言葉を書き、その足場から見える地平を見ながらまた書いていく。その繰り返しで思考が前に進んでいく。そういう瞬間に思考している僕は、主体として思考しているのではなく、書かれた言葉に引きずられる形で思考させられている。思考のクセから逸脱するためにいかに慎重に言葉を選んでいくかが文章がうまくなるポイントなんだろうか、とも思う。

 

保坂和志クンデラは、小説の中で思考する点が共通するけれど、大きな違いもある。それは、保坂和志はジャズ的に文章を書いていくのに対し、クンデラはオーケストラのように緻密に構成された文章を書いている。小説を書く上で、音楽的感性は作家のスタイルに大きく影響するのかもしれない。

 

※明日に続く。