on the road

カルチャーに関する話。

休日出勤したのに、サボって漫画読んでた

金曜日の夜、草加健康センターで、サウナナイトに参加してきた。2ヶ月ぶり?くらいのサウナなので、ガンギマリした。参加人数限定だからか、スタッフの人のおもてなしがものすごく、外気浴スペースで休んでいる時にうちわで扇いでくれたりした。水風呂がバイブラで攪拌されてるから、温度計では13度だけれど、体感では10度台だ。いつも水風呂は1分も経たないうちに出るんだけれど、久しぶりのサウナだから水風呂もたっぷり味わおうと2分くらい入った。水風呂もちょっと長めに入った方が外気浴の時のととのい方が段違いだ。感覚が鋭利になって、雨の音が大きく聞こえる。久しぶりのサウナだから目がぐるぐる回り始める。バッドトリップ間際だけれど、ギリギリ持ちこたえて、ととのう。サウナでととのう度にクスリやるより絶対こっちの方が気持ち良いだろうなあと思ってしまう。アメリカのドラマでクスリやるシーンを見る限り、サウナでととのう感覚とクスリでぶっ飛ぶ感覚は一緒なのでは、と勘繰ってしまう。クスリなんてやったことないから真偽は定かではないが。

 

土曜日、親族の不幸を知る。ここ数年毎年のように親族の誰かが亡くなる。同年代の人に比べ、親戚の人数が多い方なのと、親族が比較的高齢な人が多いから仕方ないのだろう。幸田文の『黒い裾』を思い出す。内容なんてほとんど覚えていないけれど、葬儀の作法に徐々に慣れていく過程に心当たりがあった。読み返したいんだけれど、本棚になかった。誰かに貸したまんまだ。

 

黒い裾 (講談社文芸文庫)

黒い裾 (講談社文芸文庫)

  • 作者:幸田 文
  • 発売日: 2007/12/10
  • メディア: 文庫
 

 

夜、後輩とオンライン合評会をする。僕は後輩より本を読んでいないから体系的な知識はない。特に最近は小説を読んでいないから、〇〇みたいだ、とかこの描写が……みたいな話ができずにいた。基本後輩の意見に耳を傾ける。小説の細部を自分の言葉で説明して好きだと言えるのはすごい。会社員精神が身についてしまっているからかわからないが、今回の合評会で後輩の小説を読む時、描かれた世界が変じゃないかに囚われてしまった。描写された公園はあり得そうなのか(リアルっぽいかということではない)、土砂降りとはいえ、車から店に向かうわずかな距離で傘を差すのはなんでか、レトリックというよりは描かれた世界そのものが辻褄の合うようになっているのかがやけに気になってしまった。こういう自分の読みを言語化して合評会の場で伝えられるようにもっと創作に向き合ったり、細部にじっくり向き合ったりした方が良いんだろう。自分の小説については前回の記事で書いたので詳細は割愛する。

 

日曜、休日出勤をする。深夜に自分のブログに小説を投稿なんかしたもんだから、恥ずかしくて恥ずかしくて寝付けなかった。あとがきと称した言い訳もあわせて投稿して、予防線を張ったのに、たいして寝れない。昨日の合評会を通して、リライトしてえなあと思うが、同時に誰かの感想を求めている。

 

今日の休日出勤は、自分から上司に日曜出ます、と言ったので強制ではない。先輩と入れ替わりで自分の部署に移動してきた人へ仕事を引き継がなきゃいけないし、自分の部署の新人に仕事を振らないといけないので、色々整理する必要があったから出勤した。この1年でだいぶ社会人としての力量が上がったように思うが、課長が全然仕事を裁き切れていないのに若干イラつく。時間的に全部自分でできないんだから部下に仕事を振ればいいのにと思う。部署の評価が下がって、ボーナスが少なくなるのが嫌なので最近は仕事をぶんどって自分でやっている。明らかに自分の職権を越えているし、生意気なんだろうと思うが、周りの部署に明らかに迷惑をかけているので、やらざるを得ない。この状況が続くようであれば、転職してやろうと思う。

 

という思いはあるものの、寝不足プラス昨日の小説に対する反応が気になって仕事に手がつかない。ちょこちょこ長めの休憩を取って、電子書籍で購入した漫画を読む。今読んでいるのは、山口はじめ『ブルーピリオド』だ。

 

 

高校2年生の主人公が先輩の描いた油絵を見て、美大を志す。主人公の矢口は不良だけれど成績は優秀だ。要領が良いというよりは、きちんと必要な努力をできる人間というタイプだ。自分の意見を主張するよりは空気を読んで場が盛り上がるように立ち回ることができる。そんな彼が、先輩の描いた油絵に触発されて、選択美術の時間にオール明けの渋谷の青さを表現しようと色んな色を使う。

 

どうしたらあの

眠い空気の中の

少し眩しいような

でも静かで渋谷じゃないみたいな

1日の始まりのような

これから眠りにつくような

青い世界

(中略)

そうかも

するかもしれない

そもそもビルは青くない

でもそれも含めて好きなんだよ

…あ

好きなものを好きっていうのって

怖いんだな…

 

拙いながらも描いた矢口の作品は不良の友達に褒められる。不良とつるむ時は自分の意見を言わないから、自分を丸ごと肯定されたかのような気持ちになって、涙ぐんでしまう。この部分の描写が今の僕にビンビン響いてくる。好きな作品を好きっていうのは比較的楽なんだけれど、好きなものを表現するのはめちゃくちゃ怖い。好きな作品はすでに一定の評価がなされている場合が多いから、好みの問題で片付けられる。だが好きなものを表現する時はそれが否定されたら、自分の価値すら否定されてしまうようだ。

 

矢口はそのあと、美術部に入り、東京藝術大学に入ろうとひたすら努力しまくる。劇的に絵が上手くなることはない。周りの絵が上手い天才と未熟な自分を比べて悔しさを感じ、ひたすら描きまくる。夢中で漫画を読み進め、最新刊まで読み終わる。満足したけれど、1時間以上はサボってしまった。

 

けれど、やる気が出た。とにかく練習しまくるしかない、何事も。