on the road

カルチャーに関する話。

やっと読み終えた小説、読み進められた漫画、それと最近の話。

去年の秋から読んでいる本をしばらく読み進められずにいた。風呂場でちょこちょこ読んでいたから、カバーがよれよれになってしまう。出先で読もうといつも鞄に入れていたのに、読まずじまい。本屋で新しい本を買ってしまうから、喫茶店で時間を潰すときも、新しく買った本を開くのに夢中になってしまう。

 

読みさしの本は何冊もある。もうこの先読まないかもしれない本も中にはある。でも、去年の秋から読んでいるこの本の迎える終わりを見届けたい気持ちは冷え切らず、3月の、少し日差しを暖かく感じる日曜日に一気に読んだ。

 

大江健三郎の『同時代ゲーム』のことである。大江は正直あまり好みではないのだけれど、時折、咀嚼しづらさのある(読み応えがある、というにまた違う感触の)文章を読みたくなる。大江健三郎の小説は片手に数えられるくらいしか読んだことはないが、僕が大江の文章に感じるのは性欲を煮詰めたようなドロドロしたもの。

 

かれらの内に立ちまじって、ズボンをおろした僕もまた、長方形の明るみの底に、輝くバターの色の丸い臀部をあらわしたきみを見た。宙にささげるように臀部を高くあげた反動で、頭はキンカクシにつけるほど低くしているのに、自然なあり様で頸を曲げたきみは、やはり声にすればアハハアハハと屈託なく響きそうな微笑をこちらにむけていた。便所の臭いの立ちこめている昏りに、花火が開くように活力のある聖液の匂いがパッパッと噴射されるのをかぎわけつつ、僕は輝くバターの色の丸く大きい臀部を見おろし、そこへ精液がとび散らぬかと心にかけたが、きみの花やかに微笑する眼に、その心配はないと励まされるようにも感じた……

 

そこまで潔癖ではない僕でも、この描写の汚さに閉口してしまいそうになるのだが、村の奇妙な因習で捻じ曲がった性欲のさまに神話的な雰囲気もうっすら感じ取ってしまう。

 

第3の手紙からダレてしまったのだけれど、第6の手紙の最後の方の裸で森を彷徨う主人公の数日間の描写が圧巻で、途中で読むのをやめなくてよかったと思った。大江成分を十二分に摂取したので、1年くらいは読まなくて良いかな。

 

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最近、『呪術廻戦』を読んだ。この漫画も数年前に途中まで読んで、話の筋が分からなくなって読むのをやめてしまっていた。THE SIGN PODCASTの呪術廻戦回を聴きたくて、再チャレンジしようと読み進めたら、想像以上に楽しんで読んだ。『呪術廻戦』の好きなところは、主人公の虎杖が罪を引き受けた上で敵と対峙するところ。年内に終わりを迎えるという話もあるから、話が完結したら、ちゃんと感想をまとめたい。(好きなキャラは東堂葵です)

 

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THE SIGN PODCASTの呪術廻戦回はもちろん面白かった。

 

 

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先週末、香水をかけすぎて、隣席の先輩にすぐに気づかれる。恥ずかしくなったけど、思いの外香水の話で盛り上がった。週末に散歩してたら香水が欲しくなって、新しい香水を買ってしまった。今朝香水をふきかけた時にまとった無敵感で、今日を難なく乗り切った。

 

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ジャンクなものばかり食べてますね、と会社の人に言われ、赤面する。引き出しに閉まっていたチョコをいつも以上にコソコソ食べる。

 

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最近、聴いてるJ-WAVEの「おみゆの好き蒐集倶楽部」の空気感が好きで、作業中はよく聴いてる。散歩中に聞くのも良い。

 

 

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プログラミングの勉強法として紹介される写経という言葉、ここで出会うとは思っていなくて、少しおかしくて笑ってしまうけれど、些細なことすぎて誰にも言うこともなく、胸の中に閉まっておく。