夏休み最終日を迎えた僕は、ヨーロッパ企画の演劇「ギョエー! 旧校舎の77不思議」を観に行こうとしていた。ラジオのCMで度々流れていて興味があったのと、超人気劇団の演劇をいちどくらい観に行きたいとおもっていたからだ。
家を出たのは、11時前。僕の家から今日の公演をやる本多劇場まで1時間くらいかかる。道中、かが屋のANN0を聞く。
かが屋のネタで好きなのは、「年金を払ってない女」。昨日のENGEIグランドスラムでもやってたみたいだけれど、Netflixのドラマ「マインドハンター」を一気見していたので、見れなかった。
かが屋はふとした時にキャラクターの感情とか気持ちが垣間見える演技が秀逸。生き様をコントで表現していて、「こういうやついるよなー」を超えて、「こいつらってきっとこういう人生を送ってきただろうな」とか「何年経っても同じような関係性なんだろうなあ」みたいな気持ちになる。
「年金払ってない女」は、賀屋演じるみきぴょんが年金を払ってないことを加賀演じる健ちゃんが指摘するってのが話の大筋。みきぴょんの年金をもらえないかもしれない不安と怒りを受け止めて発する健ちゃんの「ほなら、わしがこの国変えたらぁ」のセリフにグッとくる。映画とかドラマだったらカッコいいシーンなんだろうけど、バカップルの喧嘩の中で出てくるセリフだと、おかしみも増してくる。その時の出まかせかもしれないけれど、健ちゃんのみきぴょんを思う強さをビンビンに感じて、一層面白くて愛おしい。
佐久間宣行のANN0で話されていたことだが、バナナマンのライブの関係者席に急遽空きが出てしまい、作家のオークラが色んな人に電話をして、かが屋をライブに招待したそうだ。かが屋を招待して、オークラが佐久間宣行に「俺は東京のコントのDNAを継いだ」と話したところがアツい。今年のキングオブコントは決勝戦にきっと出るだろうから、とても楽しみ。
特に電車も遅れることなく下北沢に到着し、本多劇場へ。当日券の抽選を待つ列に並ぶ。並び始めて5分もしないうちに抽選が開始される。スタッフの人が差し出した箱の中から番号が書かれた札を引く。10と書かれた札だ。10番ならば、当日券も手に入れることができそうだ。ひと安心して、札の番号通り並び直す。前に並んでいる人がお金を用意している。そこで、少し嫌な予感がする。昨日ランニングする前にロロの演劇のチケットの代金を支払うためにバッグから抜いた記憶が脳裏に浮かぶ。その後バッグにしまった記憶がない。
そう、財布を忘れてしまったのだ。スタッフさんに財布を忘れたことを告げ、肩を落として下北沢駅に戻る。来週の土日もやるのだけれど、僕は会社全体で参加するお祭りで阿波踊りを踊らなければいけないので、平日になんとか行かなければ見れない。どうにかして時間休を使おうとおもう。帰りはバナナマンのバナナムーンGOLDを聞く。今年はやけにライブのことを話してくれるからとても面白い。
夏休みは、何もせずに終わった気がする。プチダイエットでウォーキングをしたり、「全裸監督」やら「the boys」やら「マインドハンター」をずっと観ていた。
「全裸監督」は伝説のAV監督村西とおるの半生を描いたドラマだ。俳優陣全員最高の演技で見応えは抜群だ。森田望智演じる黒木香が母親からの抑圧から解放され、ありのままをさらけ出すセックスシーンはなぜだか泣けてくる。シーズン2が既に決まったそうだが、よりハードな人生を歩むであろうふたりをどう描くのか楽しみだ。
「the boys」は性根の腐ったスーパーヒーローたちと戦うドラマだ。「ウォッチメン」にも通ずるテーマ性で、「見張り役を誰が見張るのか」、つまり悪を倒すスーパーヒーローが正しいかは誰が決めるのか、スーパーヒーローが悪いことをしたら誰が倒すのかということに向き合っている。まだ途中までしか見ていないので、どういう展開になるのか楽しみだ。
「マインドハンター」は、FBIが連続殺人鬼の心理と向き合い、プロファイリングの手法を確立させていく話だ。デヴィッド・フィンチャーが製作総指揮なので、期待を超えて楽しませてくれている。最近シーズン2の配信がスタートしたみたいだけど、まだシーズン1の8話なので、早くシーズン2を見たい。
あと、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を全話見た。9/6から公開される映画も見たいので、予習をしたのだ。主人公のヴァイオレットが、自動手記人形と呼ばれる代筆業をする姿を描く。ヴァイオレットは武器として育てられてしまったので、戦争で戦うことしか知らない。だから、他の人に比べて感情表現が豊かではない。主人であるギルベルト少佐の帰還を待ちながら、ギルベルト少佐が最後に残した「愛してる」の意味を知るために、手紙の代筆業の仕事を始める。アニメの全編で繊細な感情が描かれるので、こんな感情を描いてくれてありがとうとおもいながら見てしまった。10話なんかは飲み会前の空いた時間で見ていたのに、泣いてしまった。よくある展開だけれど、演出次第で新鮮に観れるのだなと感じた。
夏休みに何もしていないと思ってたけど、原田治展に行ったのを忘れていた。
原田治は、80年代のポップカルチャーを牽引した人物だ。ポテチのキャラクターとかミスドのキャラクターとか今でも第一線で活躍しているキャラクターを多くデザインしている。
原田治展は写真撮影OKだし、雰囲気も良いのでぜひ行ってみてほしい。展示スペースの上の方の壁に書かれた言葉が印象的だった。
終始一貫してぼくが考えた「可愛い」の表現方法は、明るく、屈託がなく、健康的な表情であること。
そこに5%ほどの淋しさや切なさを隠し味のように加味することでした。
夏休みも同じように楽しいの中に淋しさ、切なさがあるから最高なんだなとおもう。今日財布を忘れてヨーロッパ企画の演劇に行けなかったことの悲しさを噛み締めて明日からの会社をがんばろうとおもった。